20世紀の幽霊たち ジョー・ヒル著 (小学館文庫)

2009年12月5日土曜日

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ジョー・ヒルの『20世紀の幽霊たち (小学館文庫)』は、非常に優れた短編集だ。

ジョー・ヒルは、スティーブン・キングの息子であることを隠すために、キング名を使わずプロフィールでも一切明かしていなかったが、売れてからその素性を明らかにした。親の七光りではないことを証明したわけだ。スティーブン・キングの息子ということでデビューしたら、良きにつけ悪しきにつけ色眼鏡で見られることは確実だから、その作戦は正解だったろう。

しかも、本作を読んだ限りでは、短編では巨匠スティーブン・キングよりもうまいかもしれない。もっともスティーブン・キングは、短編はあまり得意ではないような印象を受けるが。

一方、ジョー・ヒルの長編だが、処女作『ハートシェイプト・ボックス (小学館文庫)』も大変素晴らしい作品だ。いきなりこのレベルの作品でデビューしたのだから、売れないほうがおかしい。雰囲気や構成などはスティーブン・キングの作品そのもの。スティーブン・キングが別のペンネームで書いたのではないかと思うぐらい。素性を隠していたが、ジョー・ヒルはやはり父親の影響を強く受けているようだ。

米国では、『Horns』という次の長編が出版されているほか、2010年2月10日には『Locke &Key: Welcome to Lovecraft 』というコミック・ブック(挿絵はガブリエル・ロドリゲス)が出版されるということで、一日も早い日本語版の出版が望まれる。小学館さん、是非ともよろしくお願いします。

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