フォックスコンで自殺者相次ぐのニュースは大げさ過ぎ

2010年6月29日火曜日

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アップルなどの電気製品メーカーの製品を製造する、フォックスコンの深セン工場で十数人の自殺者が出ているというニュースが、先月ぐらいに日本のメディアでも取り上げられた。

あのニュースを目にした人は、さすが中国、どれだけひどい労働環境で働かされているのだ、というイメージを持ったと思う。だが、あのニュースは、日本という小さな島国の住民には想像もつかないバックグラウンドがあることを今日のニュースで知った。

そのニュースとは、アップルがiPhoneの製造を深センから中国北部の工場に移設するというものだったのだが、その中に「40万人の従業員」とさらりと書かれていた。



は? 従業員が40万人。そんなわけはなかろう。桁が間違えてるんだろう、と最初は思ったが、調べてみるとソースによって異なるが、45万人、54万人と書いているソースもあり、従業員が数十万人いるのは本当のようだ。

それだけ人数がいれば、普通の労働環境でも自殺者は出る。十数人ぐらいの自殺者が出ても何の不思議もない。なにしろ45万人というと、日本でいうと長崎市や金沢市の人口と一緒である。

日本の自殺率は、2007年に人口10万人当たり24人だったので、深セン工場の従業員数に日本の自殺率当てはめると、単純計算で4.5倍で108人。1年間に108人の自殺者が出ることになる。

日本のメディアだけでなく、欧米のメディアにとっても、従業員が45万人もいる工場なんて想像もできないので、十数人も自殺者が出ていると大騒ぎしたが、こうしてみるとなんてことない。日本の自殺率からすれば、むしろ1/10ぐらいの自殺者しか出ていないことになる。

調べてみると、同じようなことを書いている記事もあった。
実のところ、Foxconnの従業員の相次ぐ自殺は、解釈が難しい面もある。今年に入って同社の中国工場では13人が自殺を図り、10人が死亡したが、医学誌「Lancet」で発表された2008年11月の調査では、中国の自殺率は10万人当たり15.05人だった。Foxconnの中国の従業員数は54万人以上であり、今年のこれまでの自殺者数で見ると、自殺率は中国全体の平均をはるかに下回っている。
 (従業員の自殺が相次いだフォックスコン、従業員宿舎の運営管理を外部委託へ

やはり中国は人口が多いだけあって桁違いであり、我々の感覚では想像もできないなと改めて思い知った今日なのであった。

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