本作、幽霊の2/3 (創元推理文庫)は、長らく廃刊となっていたが、創元推理文庫創刊50周年の際に読者の復刊リクエスト第1位となり、復刊となった作品だそうだ。古い翻訳物を読むと、今時、こういう言い方しないよな、とか、今となっては意味が分からない言い回しがあったりするものだが、復刊と言っても新訳なので、読んでて違和感はなく、その点は問題ない。
リクエスト第1位となっただけあって、最後の最後まで謎解きが分からず面白かったが、少々玄人好みと思われる。1956年の作品なのでまだ50年とちょい前でしかないのだが、やはり時代背景が少々クラシックだし、殺人事件も地味だし、血湧き肉踊るような展開にはならない。小説家、批評家、出版界の裏話というかパロディのようになっているので、ミステリー小説を読み慣れた人や出版界にいる方々には面白いだろうが、一般の読者にはちょっと地味かもしれない。
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