ベルリンからロンドンに移動してきた。ロンドンは1泊のみで時間がないが、ビリー・エリオット・ザ・ミュージカル(Billy Elliott the Musical)を是非と観たい。
日本ではあまり知られてないが「リトル・ダンサー」という素晴らしい映画の監督と脚本家が自らミュージカル化したもので、今年、ブロードウェイでトニー賞15部門にノミネートされ、10部門を獲得した。
今、ニューヨークで最も人気があるミュージカルだが、ここロンドンでは2005年から公演しているので、人気も一段落しており、当日でもチケットはおそらく手に入るだろう。
ヒースロー空港から、Heathrow Expressに乗ってパディントン駅に到着。Marriott Hotel Marble Archまで歩いてチェックイン後、すぐに地下鉄でレスター・スクウェアの正規半額チケット販売所のtktsに向かう。が、ビリー・エリオットのチケットはない。ちょっと甘かったか。
ま、もともと安く手に入れることにはさして興味はない。ロンドンのtktsを利用したことがないので、一度使ってみようと思ったという程度。ゆえにレスター・スクウェア周辺にたくさんある安売りチケット屋には目もくれず、地下鉄で劇場に向かう。
劇場のVictoria Palace Theatreは、その名前の通り、ロンドン南のターミナルであるビクトリア駅の正面にある。劇場についてみると、高い席から安い席までチケットはまだまだあるという。せっかくの機会なので迷いなく、ベストの席を買うと伝える。
前から11列目で中央から3席左にずれただけのかなり良い席だ。60ポンドと少々値段は張るが、日本円にすれば9,000円。一番高い席でも日本よりかなり安い。
さて、公演内容だが演出が素晴らしい。踊りも素晴らしい。舞台装置も良く出来ている。ビリー少年の踊りが、映画よりもかなりアクロバティックだが、舞台演出上の驚きと感動に繋がっている。
ただ、曲は私の心の琴線に触れるものは一つもなかった。エルトン・ジョンが作曲しているので、大いに期待していたのだが。メロディを覚えた曲は1曲もなし。むしろ、あれ?この曲って、なんかの曲に似てない?という曲が一つあった。それがなにの曲なのか、思い出せなかったが。
ひとつ問題があったのが、イギリス北部が舞台なので、映画もそうだったがミュージカル版も出演者達のほとんどが非常に訛の強い英語を喋るため、かな~り聞き取りにくいこと。幕間に、隣に座っていたイギリス人が、「訛りが強くて何言ってるか分からないだろう?」と話しかけてきたが、まさにその通り。ただ、映画とやや違うところもあるが、概ね映画の通りの進行なので、ストーリーの理解には問題なかった。
トニー賞を獲得したということで、ビリー・エリオットをこれからニューヨークかロンドンで観る人が多いと思うが、基となった映画「リトル・ダンサー」を事前に観ておくことを強く勧める。映画を観ずにミュージカルを見てしまうと、おそらく殆どの日本人は細かいストーリーが理解できない。
ビリー少年の熱い思い、親父と兄貴の葛藤、炭鉱夫達の気持ちなどが理解できないと、このミュージカルを十分に楽しめたと言えない。
繰り返すが、『まず映画を観てから劇場に向かうように』。
ちなみに、場内はスタンディング・オベーションだったが、実際にはそれほどの出来ではない。私を含め、前が立ってしまって見えないから、しぶしぶスタンディングという人も多く見られた。
そもそもスタンディング・オベーションと作品の出来はしばしば一致しない。
ブロードウェイやウェストエンドで観劇している人は目が肥えた人ばかりではなく、観光客が多い。生まれて初めて観るミュージカルで感激してしまい、たやすくスタンディング・オベーションが出やすくなっているので。
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